理容師がつくる美しい襟足~歴史をたどる

うなじと襟足-えりあし-の違い

うなじは首の後ろ全体を指し、襟足は後ろの髪の毛の生え際のことを指します。
美しいうなじとは、美しく作った襟足なくしては、表現できないということでしょうか。

はじまりは江戸時代

いろいろな髪形が考案された江戸時代に、髪形ばかりに注意を払うのではなく、よりいっそう美しさを引き立たせるために、その周辺にもいろいろと工夫を考え、髱-たぼ-を美しく見せるために襟足に化粧を施すようになった。

襟足の化粧法には「えり白粉」を塗り、黒い髱-たぼ-を際立たせていたが、生え際が不揃いだと見た目の美しさを損ねるという見解から、生え際を剃ったり抜いたりして整えていました。

美しさ際立たせる襟足の形

江戸時代で整えていた襟足の形には3種。

襟足をつくらない坊主襟-ぼうずえり-と、襟足が二本足三本足の3種。

この形と白塗り化粧が現在では芸奴や舞妓という職業に残っています。

余談ですが芸者(芸妓)や舞妓の襟足の化粧には、正月と八朔(黒紋付を着るとき)三本足を引き、それ以外(お座敷など)は二本足を引いている。

襟足の形

東と西では襟足の呼び方が異なるも、美しい形は同じ

襟足の二本足と三本足ですが、昔は東西では言い方が違っており、西(京坂)で二本足、三本足と襟足の数を数えており、東(江戸)では二本を一本、三本を二本と襟足の間を数えていました。

流行はあったものの定番は二本足だったが、首筋を長く見せるために三本足は効果的と述べられている。(都風俗化粧法より)

襟足シェービング

 

理容室でつくる襟足の形の名前

理容師が作る美しい襟足のことを、「みつえり」と呼んでいます。
余談ですが…
みつえり(みつ襟)って着物用語で、そこからとったようです。

脱毛流行りと坊主襟

脱毛が身近になってきた近年、襟足をつくらない坊主襟の方を見かけるようになりました。
理容師は、襟足の形についての知識がありますが、その知識がないエステティシャンは、うぶ毛を根こそぎとってしまうような処理をしてしまったと思われます。

坊主襟を、ご本人が好むのでしたらよいのですが、美しいという点からは、大人の女性にはお薦めする形ではないということを理容師の立場からは申し上げておきます。

坊主襟

アップスタイルのうなじが美しい、えり魅せシェービング

主に花嫁さん向けに薦められる襟足のシェービングですが、花嫁さんに限らず、人生の特別な日。
アップスタイル時には、首筋長く美しく見栄えのする襟足の化粧(えり魅せシェービング)を施されてはいかがでしょうか?