理容師のシェービング用剃刀〜弘法筆を選ばず

理容師の使う剃刀には日本剃刀、西洋レザー(本かみそり)替刃式剃刀があります。
花結では替刃式を使用しています。
それぞれの特徴をザックリ紹介。

  • 日本剃刀は刃あたりが柔らかく、女性のうぶ毛に適していますが、錆びやすいのと衛生面に疑問が残ります。研ぐ技術も必要で、現代の理容師に研げるプロがいるのか・・ごくごくわずかです。
  • 西洋レザーは刃の形状からカミソリの衝撃を逃がし、肌へあたりにヒリツキがなく、消毒などの手入れも簡単。研ぐ技術も必要。日本剃刀ほどではないが、やはり均一な刃をつける腕の理容師は少ない・・
  • 替え刃式は、替え刃とホルダーの両方が多種類あり、その特徴を捉え組み合わせることにより、肌へのあたりが柔らかく女性に合うものであったり、濃い髭の男性向けであったりと、選択が可能。
    消毒への耐久性も考えられてつくられているし、1人1枚の刃ということもできる。

正直、自分のサロンを持った26歳から10年以上、日本剃刀の技術を習得したくて、師匠やその知り合い、道具屋さん、理美容関係の編集者などに声をかけ情報を求めましたが、皆無でした。

SNSのおかげで様々な情報が得られる現在、日本剃刀を使用している理容師がいるのを知り複雑な気持ちになりましたが、実際のところ研いで使うことに徹することができず、替え刃式に変わっている様子がうかがえるので、総合的に替刃式が現代にはあっているのではないかと思います。

替え刃式のカミソリを徹底的に使う

プロ用カミソリ 理容室剃刀

日本剃刀への技術取得へ気持ちはあったものの、実際サロンでは替刃式剃刀を使い倒しているわけです。

道具というのは、最初に出会うサロン(師匠や先輩)の影響や道具屋さんの影響を大きく受けるので、お客様に初めて使った剃刀は替刃式で、シックというメーカーの二つ折りタイプ(フォルダータイプ)でした。
替刃も同メーカーのもの。

画像の青や緑の鞘(さや)のついた”フォルダータイプ”で、剃刀の刃を納められるようになっています。
理容師1年目から7年くらいはフォルダータイプを使っていましたが、ブライダルシェービングを安全に効率よく行うのに、日本刃(にほんとう)タイプを使うようになってからは、すべて日本刃タイプに切り替えました。

見てわかるように、日本刃タイプといっても持ち手の形状が微妙に違います。
当然、刃の部分も違いがあり、替刃の刃自体も種類があるので、刃と剃刀の組み合わせによって、肌へのあたり方(剃刀の角度)や肌のあたり具合が異なります。

肌と毛の状態に合わせ、道具の特徴を捉えて使い分ける

シェービング替え刃

画像は替え刃式かみそりの替刃です。
左側4枚はむき出しの刃になっていて、右側4枚はすべて刃の部位にガードのついているものになっています。

かみそりと替刃の組み合わせが、お客様の肌状態とか、お客様のシェービングに感じる心地よさの好みに影響を与えます。

どれも同じでしょ?と思うことなかれ。
定期的にシェービングに来店されるお客様は、わずかな違いも感じ取れるようになるんですよ。
皮膚は露出した臓器なんですから、本来は感覚が優れているものなんです。
ですから、皮膚へのあたりが柔らかいのは、ガードなしになります。

熟練度によるのが大きく影響をするのがシェービング技術ですから、実際に各理容室のお客様が感じる皮膚感触は異なるでしょうか。。

剃刀と替刃を組み合わせる花結のシェービングの例

ニキビやイボがある肌、身体の状態によるスピード重要視、男性の髭剃りの好み、パーツ別etc…

心地よさの基準

シェービングのリズム(ちょこちょこ剃っていないか?、スピードは速すぎないか?etc…)
かみそりの刃が立っていないか?
添え手の使い方など・・

あとは、やはり理容師とお客様の相性もあるのではないかと、私は考えます。
どれほどのベテランや有名な方であったとしても、心地よく感じられないことはシェービングに限りませんものね。

※タイトルにつけた「弘法筆を選ばず」は有名なことわざで、意味も幾つかありますが、私は自身への戒めの意味を込めています。
道具の進化によっても快適なシェービングができるようになるということは、道具を使いこなす技術や鍛錬も必要なので、これからも技術更新はし続けますよ!
自分の技量の不足を道具の所為にしてはならない、更には失敗を周りの環境の所為にしてはならないという戒め。ウキペディアより